TOPPANが英国でアニメグッズの卸売り事業を開始

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 印刷会社大手のTOPPAN株式会社(大矢諭社長)とTOPPANグループ傘下のCross Media Ltd.(佐藤圭樹社長、本社=英国・ロンドン)は、英国で日本発祥アニメや漫画などのグッズ卸売り事業を連携して開始すると7月11日に発表した。第一弾で取り扱うのはグッドスマイルカンパニーの商品。日本で対象商品を卸売りする株式会社PROOF(宮里英文社長)の協力を得て、ねんどろいどやfigmaシリーズなどのフィギュアを英国の流通小売業者へ販売する。今後は英国で培った知見やネットワークを生かし、商品に合わせて企画したマーケティングやプロモーション施策を投じての販売、コンテンツホルダーの戦略に合わせた小売店の開拓などにも取り組み、2030年までに関連受注を含めて30億円の売上げ計上を目指している。

 Cross Mediaは在英日本人に向けた生活情報誌や観光ガイドブックの出版事業からスタートした企業。15年前から日本文化の発信イベント、HYPER JAPAN FESTIVALを開催し、現地の商習慣に対する精通度を高め、日本企業との関係を築いてきた。この強みを生かして行うのが今回の新規事業。第一弾で取り扱うグッドスマイルカンパニーの商品は、その会場(日程はロンドンが7月18~20日、マンチェスターが11月14~16日)でも来場者へ販売をする。

 事業を通じ、英国への日本コンテンツと関連グッズの参入支援、欧州でそれらの情報発信基盤整備に取り組む両企業。今回の事業開始には現地卸売事業者の理解不足により、購買動向を把握した日本アニメグッズの店頭展開や戦略的な販促活動ができていない思いがあった。この流通網が確立されない現実はコロナ流行以降、需要が高い日本アニメグッズの模倣品が市場に蔓延する事態も招いた。活動を開始することで、その課題を解決し、英国における日本コンテンツと関連商品の地位向上へ貢献することを目的に挙げている。

 大手印刷会社の中では、大日本印刷も昨年より日本のアニメグッズを対象に海外事業を開始した。こちらは店舗を設けた小売り事業だが、どちらも日本のアニメと関連商品を扱う企業には商機へつながる内容になっている。現地法人の設立には大きな費用がかかるものの、コラボであれば少額で済み、中小企業でも可能になる。海外で日本コンテンツの高まりを捕える商品展開の試みは、コラボにより大きく進展する可能性がでてきた。

【お知らせ】
 2025年10月号の新聞(ホビージャーナル)では、統計(貿易、人口)を用いての状況分析、3市場(玩具、家庭用ゲーム、カプセルトイ)を合算した売上高推移、販売にドキドキを取り入れた商品の消費者購買意識、2024年度EC販売の世界規模動向、事務機メーカー2社がAIロボットを発売、海外市場に向けた新サービスの内容(TOPPAN、メルカリ)、国内で行われたイベントの内容、トレーディングカードゲームメーカーの決算、海外での玩具判決事例、米国向けの郵便発送一部停止、ラジコンメーカーの株式譲渡などについて取り上げました。その中から今月はこのTOPPAが関連会社と協力して英国ではじめる卸売事業の記事をピックアップしてホームページへ掲載しました。海外で日本コンテンツの高まりを捕える商品展開はコラボにより大きく進展する可能性がでてきました。