一般社団法人アニメジャパン(岩上敦宏理事長)は3月22~25日、江東・有明の東京ビッグサイトで「AnimeJapan」を開催した。前半2日間を一般消費者が対象のパブリックデイ、後半2日間は商談日のビジネスデイに分けた完全有料制の総合アニメーションイベント。会場では今年から来年にかけてのアニメ情報がブース展示やステージなどを通じて発信されていた。その中で、テレビ局系列企業などの出展者に商品化目線で新たな推しタイトルを挙げてもらった。これらが目指すのは定番化。キャラクターグッズは放送や配信で番組を見終わった直後に一番売れるタイミングが来る。しかし、それは裏を返すと、新番組の放送が一段落したら動きが鈍る意味にもなり、商品化する側は新進系よりも知名度が高い定番キャラクターを選ぶ傾向が強い。今回はそのレベルへ育てたいタイトルを聞き取りした。
テレビ朝日が対象に挙げたのは「片田舎のおっさん、剣聖になる」であった。4月より放送がはじまるライトノベルが原作の初アニメ化タイトルで、ブルーロックやババンババンバンバンパイアと同じ枠で放送し、その後、アマゾンでの世界配信が決まっている。バトルシーンが豊富で、女性キャラクターは露出度の高い服装で登場することから、立体化には適した内容だと紹介された。また、この局は壽屋が扱う美少女プラモデルシリーズ「ARCANADEA」のアニメ化も手掛ける(来年4月から放送予定)。未決定な面が多い中で話を聞いた限りでは、商品に持たせている天使と悪魔的なストーリーとは違う内容にするようであった。
TBSテレビは今年7月から第2シーズンの放送がスタートする「地縛少年花子くん」と、昨年の年末に特別番組を放送した「五等分の花嫁」を挙げた。原作の連載が終了した五等分の花嫁は、今年1月から完全オリジナルストーリーでライトノベルの連載がスタートし、新展開への期待が高まっている。両方とも、ここまでの実績があるので、新展開により、さらなる飛躍が期待できるとのこと。
日本テレビ放送網が挙げたのは、第2シーズンの放送が決定(日程はまだ未定)した「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」だった。日本の独自文化に当たる自販機へ転生した主人公の冒険活劇という内容が海外で注目されて、新シーズンの放送が決定した。伸びしろの高さが売りのタイトルに当たる。ちなみに「葬送のフリーレン」の第2シーズンは、来年1月からの放送が会場で発表された。
テレビ局の系列企業以外では、アニメ事業を幅広く手掛けるアニプレックスが「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」と「その着せ替え人形は恋をする」を挙げた。両方とも第2シーズンに当たり、放送は今年7月からはじまる。商品化へつながる要素は、ともに美少女キャラクターの存在だと話していた。
主催者はパブリックデイ2日間における来場者の見込み人数を15万2400人と発表した。完全有料制にもかかわらず、前年から15%増加を遂げた(しかも2024年は前年比32%増だった)。その構成比は10人に1人が海外からの参加者だという。これを受け、主催者側は早くも次回の開催予定(来年3月)を発表した。世界規模で高まるアニメ需要を表したイベント実績になった。
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【お知らせ】
2025年4月号の新聞(ホビージャーナル)では、統計からの状況分析、日本の法制度改正、国内で行われたイベントの内容、企業が実施した調査の結果、団体の動き、企業(メルカリとエポック社、ゲートウェイアーチ、フクヤ)の動向、アニメの実写化に関する情報、社長交代などについて取り上げております。その中から今月は、アニメーションの総合イベントと各国の産業団体が共同で発表した声明文についての記事をピックアップして、ホームページへ掲載しました。アニメーションのイベントでは、どのタイトルの商品が世界的に売れるのか注目です。