番組配信で変身!仮面ライダーの海外人気

バトルシーンを再現したフィギュア・ディスプレイ キャラクター
バトルシーンを再現したフィギュア・ディスプレイ

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 テレビ朝日の定例社長会見が昨年の11月25日、都内にある自社局内で行われ、50年続いたスーパー戦隊シリーズの放送休止を正式に認めた。これに対し、2025年9月7日より放送がはじまった仮面ライダーゼッツは、テレビシリーズ放送開始から55年目にして初のYouTubeなどを通じた世界同時配信(対象国は北米、北欧、中南米、アジア圏、中東、北アフリカなど)を行っている。これらの国や地域で、この番組は日本での配信開始とほぼ同じタイミングで視聴できる。同じ東映とテレビ朝日が制作する番組に、この差はどうして生まれたのか。その理由を探った。

 スーパー戦隊シリーズが放送休止になる要因は、グッズなどの売上げが制作費に見合っていないことだった。バンダイナムコホールディングスが発表した決算資料のキャラクター別売上高からコロナ前の2017年度以降を抜き出して状況を調べると、一番下のグループ全体から国内トイホビーの売上げを除いた金額の推移に両者の違いが鮮明に表れた(表を参照)。当初、仮面ライダーの売上高は20億円前後だった。それが20年度より上昇気流に入り、23年度以降は80億円強で落ち着いている。国内トイホビーの売上高は300億円前後を保ち、安定した状況なので、増加分はそれ以外に当たる。一方のスーパー戦隊シリーズは当初から下降し、ここ数年は10億円前後で推移している。グループ全体の内容は海外でのグッズ販売など様々だが、海外人気が高いことで知られるウルトラマン、機動戦士ガンダム、ドラゴンボール、ワンピースの数値と、仮面ライダーの動向には類似点が多くある。仮面ライダーのグッズ販売は海外で伸びており、この差がスーパー戦隊シリーズ放送休止要因のひとつだと分かる。

 しかし、仮面ライダーに限らず、特撮ヒーロー作品全般には、過去に何度も世界展開を画策し、その都度、番組後半に設けられたバトルシーンが暴力描写と捕えられ、テレビ放送されずにきた暗黒の歴史がある。国内で特撮ヒーロー番組のバトルシーンに対する抵抗感が薄いのは、親の仇や理不尽な相手を劇中後半のチャンバラシーンで成敗する時代劇を経て娯楽文化を形成した経緯によるもので、これまでの海外展開では、その文化の違いを埋めることはできなかった。これを転換させた要因を今年のTAMASHII NATIONでBANDAI SPIRITSの関係者は、ネットでの番組配信だと話していた。配信であれば、国内の配信基準でアップできる。仮に他国の動画サイトで配信されなくても、日本の配信先にアクセスできれば海外からでも視聴は可能になる。海外でテレビ放送されず、知名度が低い課題が配信により解決した。

 仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズにはヒーロー像にも大きな違いがある。スーパー戦隊シリーズは恐竜や忍者などの要素を取り入れたキャラクター重視の子供向けだが、仮面ライダーはカッコイイヒーロー像を前面に押し出している。スーパー戦隊シリーズはこの戦略で50年間生き残ってきたものの、海外ではカッコイイヒーロー像の方が受けやすい。番組配信により仮面ライダーの知名度がアジア圏を中心に海外でも向上したことを受け、BANDAI SPIRITSは2025年から26年にかけ、仮面ライダーシリーズの新商品と再発品フィギュアを多数投入する。番組配信はアニメだけでなく、特撮ヒーローの地位向上にも、ひと役かっている。

【お知らせ&新年のご挨拶】
 2026年1月号の新聞(ホビージャーナル)発行は、休刊とさせていただきました。そのため今月は昨年の12月発行号より仮面ライダーの海外人気を紹介した記事をピックアップしてホームページへ掲載しました。日本語は小さい島国のみで使われてきた言語で、国の文化もその中で形成されたものに当たります。これまで日本企業が国際展開を行うには現地企業を通じる必要があり、この言語と文化が大きな障害となるケースが多くありました。それがネット社会に替わり、個人の選択権が高まったことで、日本企業のグローバル化へ向けたビジネスチャンスは増加したことが、仮面ライダーの状況から伝わってきます。新年に際し、日本企業の皆さん、今年も頑張りましょう!