ホビーメーカー合同展示商談会 展示品12選

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 株式会社グッドスマイルカンパニー(岩佐厳太郎社長)が「ホビーメーカー合同展示商談会2025夏」を7月31日、東京・千代田区のUDX4階ギャラリーTypeLで開催した。ホビー系商品を扱う企業が集い、販売店などへ今年後半に発売する新商材の紹介を行う商談イベント(一般消費者の入場を不可としたビジネス用途のイベント)。今回はメーカー44社が33のブースに分かれて商品の案内を行った。来場者は商品の特長を聞き、年末の高需要期における案内戦略を検討した。

 その会場にはブラインドボックスに入った安価から高額品までのフィギュア、プラモデル、ソフビ人形、雑貨などの商材が展示されていた。その会場で話を聞くと、通常サイズのフィギュアを扱う企業からは高額さを気にする声、一方、販売にゲーム性を取り入れたブラインドボックス入りの小型フィギュア、推し活人気の恩恵が来ている雑貨類を扱う企業からは、玩具店やネット通販だけでなく、家電量販店、大型ディスカウントショップ、書店などにも受け入れられている事例が出た。単身者が玩具購入費用を積み増す統計が出ているものの、やはり物価高騰の影響がジワリと及ぶ実態を垣間見れた。話を聞いた限り、勢いを感じたのはブラインドボックス入りの小型フィギュアや雑貨類の方であった。そこで、物価高の影響を受けないインバウンド消費に合う商品などを各社より挙げてもらい、12商品を抜粋して掲載した。インバウンド消費は紅葉と桜の時期に需要が特に伸びるので、ぜひこの情報も参考にしてほしい。

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グッドスマイルカンパニー
~狙うのは両需要の飛躍!ブルアカのねんどろいど~
 ブルーアーカイブのファンに向けて株式会社グッドスマイルカンパニーは、ねんどろいどシリーズの新商品を来年1月に発売する。
 その新商品はメイド服を着た「飛鳥馬トキ」(写真の左、税込価格7300円)とへビメタ好きの「鬼方カヨコ」(写真右、同7200円)。それぞれの雰囲気を残しつつ、シリーズ特有の約2・5頭身にまとめた。
 来年2月に20周年を迎えるねんどろいど。その直前にこの新商品を投入する。昨年、グッドスマイルカンパニーが投じた商品の中でもブルーアーカイブは特に売れたので、好調な掛け合わせにより両需要の飛躍を狙っている。

ディーアイジー
~ゲームクリア時に喜び合おう!闘魂姿のフィギュア~
 ゲーム愛好者に向けて株式会社ディーアイジーは、龍が如くのキャラクターを立体化したフィギュアの新商品と再販品投入に力を入れている。
 その中で新商品はファイティングポーズをとる「冴島大河-激闘-」(来年1月発売、税込価格9460円)。パソコンの横に置いても邪魔にならない全長が約17センチのサイズ感となっている。
 龍が如くのゲームは世界的に知名度が高い。しかも、そのプレイヤーの約20%は女性だという。今回の新商品はゲームクリア時にグータッチができるポーズで、ゲーム部屋を飾るのに最適なフィギュアへ仕上がっている。

フリュー
~北米や欧州で人気が高い!推し活がテーマの初音ミク~
 初音ミクのファンに向けてフリュー株式会社は、推し活がテーマのフィギュアを発売し、販売に注力している。
 それは推し活バッグを持った「TENITOL 初音ミク UWA ふわふわ可愛い笑顔バッグ」。全長21センチでペンライトを持って応援する姿のノンスケールバージョン(写真の左、税込価格6050円)と、バッグを背負った全長10センチのminiタイプ(写真右、同3080円)がある。
 世界規模でコンサート活動を行う初音ミク。特に北米や欧州での人気が高い。紅葉の時期にはその方面からの訪日旅行者が増えるので、店頭はこれらを揃えてインバウンド需要を狙おう。

メディコス・エンタテインメント
~効果的に受注案内ができる!新作アニメのフィギュア~
 ジョジョの奇妙な冒険ファンに向けて株式会社メディコス・エンタテインメントは、放送時期がまだ決まっていない第7部アニメに登場するキャラクターのフィギュア化を進めている。
 第7部アニメの内容は北アメリカ大陸横断レースが舞台のスティール・ボール・ラン。そこに登場する複数のキャラクターを立体化対象に挙げている。
 雑誌「ジャンプ」の掲載漫画は世界規模で人気が高い。メディコスが早い動きをしているので、このフィギュアはアニメ放送や配信と並行して受注ができる。店頭とネット通販はそこに標準を合わせて商品の案内体制を整えよう。

ベルファイン
~日本より海外人気が高い!忠実に再現したソフビ人形~
 ソニックのファンに向けて株式会社ベルファインは、再現度にこだわって立体化したソフビ仕様のフィギュアを発売し、販売に力を入れている。
 それは2023年に発売したSoftB ソニックを全長約15センチのハーフサイズに変えた「SoftB Half ソニック・ザ・ヘッジホッグ」(写真の左、税込価格7920円)。同じ仕様でシャドウ・ザ・ヘッジホッグ(写真右)の投入も計画している。
 日本よりも英語圏での人気が高いソニック。しかも、価格は円安効果を考慮しなくても手頃な設定となっている。店頭でインバウンド消費を捕えるのに適したソフビ人形だといえる。

プライム1スタジオ
~海外需要を意識した内容!リアル造形のプラモデル~
 ベルセルク愛好者に向けて株式会社プライム1スタジオは、新ブランドの第1弾プラモデルを12月に発売する。
 それは右腕パーツの差し替えにより剣の持ち方を3種類に変えられる「ベルセルク ガッツ 狂戦士の甲冑“怒り”」(税込価格1万780円)。一部塗装済みのパーツを素組みした(写真の左)だけでも作品の世界観が感じられ、塗装を追加(写真右)すれば、さらに広がる仕様にした。
 2022年時点で単行本の全世界累計発行部数が5500万部を超えたベルセルク。その海外市場を意識した豪華なプラモデルキットが登場する。まさにインバウンド消費向きの商品だといえる。

エクスプラス
~国内とアジアで需要が望める!美少女戦士のプラモデル~
 勝利の女神:NIKKEファンに向けて株式会社エクスプラスは、その女性戦士をプラモデルキットにしたシリーズ第1弾商品を来年4月に発売する。
 それは思考が天然系で、少女の雰囲気を残した「アリス」(価格は未定)。企業として初めて顔の表情パーツを2種類(写真の右下)付属させる力の入れ様で、このシリーズ化を成功させて美少女路線の確立を狙っている。
 原作のゲーム製作を韓国、販売は中国の企業が担ったNIKKE。それを立体化した商品は国内とアジア圏での需要が望める。インバウンドの売上げにつながるプラモデルが登場する。

ウェーブ
~今年もイベントがある!売れ線のロボットプラモデル~
 ボトムズ愛好者に向けて株式会社ウェーブは、1/24シリーズの第3弾プラモデルキットを11月に発売する。
 その新商品は装甲騎兵ボトムズOVA作品に登場した「スコープドッグ ターボカスタム[キリコ機]」(税込価格1万4080円)。各関節にポリキャップを配したフル可動モデルだが、接着剤不要の簡単組み立て仕様になっている。
 今年も11月7日から1ヵ月間、東京・足立区の北千住マルイで行われる「装甲騎兵ボトムズ 総合模型演習」イベント。昨年、ウェーブはジオラマ展示にも協力した。今年も可能な限り協力し、需要の創出を狙っている。

BLITZWAY JAPAN
~インバウンド獲得実証済み!イジケたスター・ウォーズ~
 スター・ウォーズファンに向けて株式会社BLITZWAY JAPANは、ブラインドボックスに入れた小型フィギュアを発売し、販売に注力している。
 それは全員が体育座りでイジケた表情の「SMLミニフィギュア ブラインドボックス スター・ウォーズシリーズ」(1個の税込価格1100円)。デススター(写真の左から2番目)を含め、劇中とは異なる姿が魅力の商品になっている。
 これは今年4月に日本で行われたイベント、スター・ウォーズセレブレーションの物販対象品だったもの。その際には海外からの来場者による購入が目立ったという。店頭でインバウンド消費を獲得できる実証済みの商品に当たる。

ブシロードクリエイティブ
~高需要期は世界規模で数年!鬼滅の小型フィギュア~
 鬼滅の刃ファンに向けて株式会社ブシロードクリエイティブは、ブラインドボックス入りの第2弾商品を8月に、9月には第3弾を発売する。
 その「PalVerse鬼滅の刃」(1個の税込価格1100円)は、主要キャラクターを立体化した全長約9センチのフィギュア。今年5月に発売した第1弾から第3弾までで、全ての主要キャラクターが出揃うことになる。
 国内の映画記録を次々に塗り替えている7月に公開された鬼滅の刃の最新映画。数ヵ月後からは150以上の国と地域でも公開される。そのグッズは3部作に分かれた映画と同様に、数年に渡って高い需要が期待できる。

ムービック
~間接的な表現が光る!大人向けの推し活キーホルダー~
 ハイキュー!!ファンに向けて株式会社ムービックは、各キャラクターの愛用シューズを立体化したキーホルダーを発売し、販売に注力している。
 それは一般的なキャラクターグッズとは異なる間接的な表現の「ミニチュアシューズコレクション」(1個の税込価格1100円)。販売は写真にあるシューズボックスに入れた形式となっている。
 2024年公開の映画「ゴミ捨て場の決戦」で、全世界の累計興行収入が200億円に達したハイキュー!!。このキーホルダーには、その大人ファンを取り込むファッション性がある。日本独自の表現方法が光る一品となる。

SO-TA
~日本文化の結晶!新幹線の音声が流れるキーホルダー~
 鉄道ファンに向けて株式会社SO-TAは、乗車券など4種類の新幹線関連柄を付けたボックス型キーホルダーを発売し、販売に注力している。
 それはボタンを押すと車内アナウンスなど新幹線関連音が流れる「東海道新幹線チケット音声キーホルダー」(1個の税込価格660円)。新幹線と風景を収めた写真チャームも付け、ブラインドボックス方式で流通させている。
 お土産用途で販売できるキーホルダー。しかも新幹線、日本語、小型トイなど日本文化が好きな訪日旅行者にも受ける要素が複数ある。幅広い需要が取り込める店頭向け商品に仕上がっている。

 この商談会の次回予定は来年2月。春と夏向け商材を揃えて案内を行う。

【お知らせ】
 2025年9月号の新聞(ホビージャーナル)では、訪日旅行者の消費動向、違法な玩具拳銃への注意喚起、越境ECの動向、国内の玩具と通販市場の年間売上高、標準化された内容のシステム普及状況、国内で行われたイベントの内容と紹介されていた商品、模型メーカーの決算、玩具メーカーの訃報、企業(グッドスマイルカンパニー、バンダイ・ベンダー事業部)の動向について取り上げました。今月、その中からピックアップしてホームページへ掲載したのが、このビジネス用途で行われた商談イベントの記事です。今年後半に向けて、ブラインドボックス入りの小型フィギュアや雑貨類の流通量は、増える気配が濃厚でした。