財務省より発表された貿易統計速報値の2023年輸出金額は、前年比2・8%増の100兆8866億円と100兆円の大台を超え、過去最高を更新した。しかし、輸入も7%減の110兆1779億円と過去2番目の高水準となり、3年連続で貿易赤字になった。高騰していたエネルギー価格は落ち着いて前年から約20%下がったものの、為替レートが年間平均9・4円も円安へ振れ、差額は前年実績の半分程度に当たる9兆2914億円へ留まっている。為替の影響により、輸出へ取り組む企業の業績は好調だが、国内で値上げラッシュの波に歯止めがかからず、消費の先行き不安がより強まる一年となった。
その中で、日本製玩具の輸出実績は過去最高を更新した(表1を参照)。コロナ流行による急成長は鈍化したが、数量を2020年から370万キロ、金額は161億円積み上げている。取り引き量が多い国は中国(約376万キロ)、米国(約210万キロ)であった(表3を参照)。この両大国は2020年から約80万キロも実績を伸ばしている。
各国の数値は年ごとに大きく変動する傾向があり、特に新興国は数量がゼロの場合も多い。それを考慮して、2020年から2023年までの4年間、数字の計上が毎年あった国を抜き出し、2023年と20年の数量を対比させて伸び率を出すと、上位にはイラク、サウジアラビア、インドという新興国が並んだ(表5を参照)。さらに、連続計上の条件を外し、2023年から20年、2019年から16年の4年単位で輸出量を国ごとで合算し、対比させて長期視点の増加率を調べると、1位は2023年と2020年の単年対比条件からもれたガーナ(表6を参照)になった。単年対比上位で入ったのは4位のサウジアラビア(単年は2位)のみとなり、単年1位のイラクは5%増で32位、インド(単年3位)が58・4%減の57位に沈んだ。数量が多い中国(12位、伸び率は113・7%)とアメリカ(22位、同58・1%)の成長率は、ここでも高い。また、前4年間の輸出量はゼロだが、直近では計上した国にも、中東地域などの新興国名が並んでいる(表7を参照)。ここ数年の好実績は定番と新興国が揃って日本からの仕入れ量を伸ばし、全体が底上げされたのだと分かる。
一方、輸入は数量を前年から6・3%落としたが、金額は円安の影響を受けて3・5%増とねじれた(表2を参照)。それでも、前年ダウンの数量は過去2番目の水準と高く、取り引きは活発であった。円安が長期化すると、海外生産品や国内生産用素材の価格に影響が及ぶ。商品を提供する側は企業活動に支障が出ない価格を設定し、経費上昇と好調さ維持の両方へ対処することを期待したい。
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【お知らせ】
2025年1月号の新聞(ホビージャーナル)は記事構成の都合により、昨年12月号との合併にしました。その関係で1月のネット記事は、昨年アップした中で一番PV数が多かった貿易統計の続報(昨年4月発行の新聞に掲載したもの)を選びました。2024年の貿易統計に関する記事は近日発行の新聞に掲載する予定です。