ホビー系玩具の2022年生産動態統計確報

 経済産業省が2022年の生産動態統計を発表した。コロナ対策の巣ごもり生活が商品の需要を押し上げた模型業界。市場の購買意欲は高止まり状態が続き、一昨年のプラモデル販売数量(メーカー出荷数量)は600万ダースを超えた(詳細をまとめた表はここをクリックすると見れる)。コロナ流行前(2019年)との数量差は、約124万ダース増に当たる。その一方で、2022年の実績には、好調さへ水を差しかねない負の面も表れている。

 その負の面は商品供給への不安。生産数量はプラモデルが前年から約8万ダース弱、玩具合計としても12万ダース強ダウンした。前年、潤沢にした在庫もプラモデルは、2019年以下にまで捌いている。需要の高さに商品生産が追い付かず、供給量不足へおちいる可能性が表面化しはじめた。

 しかも、素材の使用量には、さらに深刻さが表れている。製品と塗料用のすべてが前年を下回り、数量は2019年よりも少ない。ロシアによるウクライナ侵攻以降、素材価格が高騰し、各方面で入手量不足と、それを要因とした商品の値上げが頻発している。巣ごもり高需要後に模型業界で待っているのは、他業界と同じ現象なのかもしれない。

 国内市場だけでなく、輸出面での活躍も目立つ玩具業界。2023年からは円安を背景として訪日旅行者数が伸びはじめ、インバウンド消費も期待できる環境になった。商品供給への不安を何とか払しょくし、さらに上のレベルへ進むことを期待したい。

※2023年生産動態統計についての内容は、5月に発行する新聞へ掲載します。