経済構造実態調査の最新結果が7月26日に発表された。現状の把握を目的に経済産業省が実施している国内企業を対象にした経済活動調査。国内産業全体の2022年売上高は、前年よりも7・3%高い1812兆9543億円と推計した。企業の手元に残る金額を表す付加価値額(費用と給与の総額に租税公課額を加えて売上高から引いた金額)も323兆6327億円と、前年から3兆2621億円増加した一方で、売上げに占めるその割合は前年の19%から17・9%へ下がった。コロナアクシデントからの企業活動復活が実感できる結果となった。
その中で、直近5年間(2020年は未発表)における玩具製造業の付加価値率は、比較対象として抜き出した出版業が一貫して25%前後なのに対し、最大で33・6%、最低10・2%と安定感がない(下線のある部分をクリックして表示される表1を参照)。それだけでなく、2022年と18年を比較すると、企業数が220社(増加)、売上金額も7・8倍(増加)の差がある。ノベルティ販売や自社通販などで稼いだ製造業の直販売上げ(年間商品販売額)に、この規模へ見合う金額の上昇が見られないので、伸びた分は流通販路の仕入れ増による売上げに該当する。コロナ流行中、玩具業界が注力していたのは、多くの下請け業者などを巻き込んでの商品生産(注1)だった。
逆に、玩具小売店の売上げには安定感がある。ここでの注目先は企業数。2022年から18年の間に、比較対象の書籍・文具小売業が868店消滅したのに対し、玩具・娯楽用品小売業は41店舗増加している。出版業界ではコロナ自粛期間中、図鑑など知育書籍の売れ行きが好調だったというが、ネット通販の台頭により書店のない市区町村が増加傾向にある。対する玩具小売りの数は書籍・文具の10%程度であるものの、増加傾向にあり、そこからは消費者を引き寄せる磁力の強さが感じられる。
玩具製造業の状況を品目別で見ると、プラモデルの出荷金額が一番高く、産出事業所はその他の娯楽用玩具(対象はぬいぐるみ、折り紙、塗り絵など)が圧倒的に多くなっている(表2を参照)。コロナ対策の巣ごもりにより、需要が大幅に伸びた玩具業界。その影響は業界の規模に変化を与える強さであった。
(注1)コロナ対策の活動自粛期間中、玩具でよく売れたのは、膨らませて使う家庭用のプール、ジグソーパズル、ボードゲームなどだと言われている。