全日本模型ホビーショー2025 展示品6選

イベント

 

 日本プラモデル工業協同組合(清水一行理事長)は10月17~19日、東京・江東区の東京ビッグサイトで「第63回全日本模型ホビーショー」を開催した。模型流通ルートの企業が集結したプラモデル、ラジコン、フィギュア、鉄道模型、ミニカー、エアソフトガンなどが会場に揃うイベント。今回も「つくろう!あそぼう!楽しもう!」をテーマに掲げ、会期の3日間を初日が業者招待日、後半2日間は一般公開日に分けて行った。イベント関係者は会期中、来場者に幅広いホビー製品の体験と魅力を体感してもらうことを目指した。

 会場は今回も東京ビッグサイトの南館を選んだ。南館には一昨年まで利用した東館よりスペースに余裕を持たせられる利点がある。その会場へ出展したのは前回と同数に当たる82の企業および団体(内5社は出版社)。業者招待日にその出展メーカーは、新商品や新たに取り組む内容の来場者への訴求に注力した。

 一般公開日の2日間は今回も学生証の提示を条件として中学生以下の入場は無料にした。楽しむ場の提供と模型愛好者のすそ野拡張を目指し、主催者は昨年に引き続いて、プラモデルの組み立て体験教室やジャンク品を販売する「お宝発掘!ジャンク市」のイベントを組んだ。さらに、複数の女性アンバサダーやYouTubeインフルエンサーが会場の様子を生配信するなど、動画とSNSを活用して来場できなかった人へのアピールも行った。

 その会場で出展メーカーからメインの案内商品を聞き、6社の商品を厳選して、内容を紹介することにした。選出基準としては需要の伸びが続くインバウンド消費、購入予算を積み増している単身世帯、コアな模型愛好者に合う商品を選んだ。コアな模型ファンと定番商品のつながりは強いので、今年のクリスマス商戦で他ジャンル玩具の売れ行きに深刻な影響を及ぼしそうな家庭用ゲームから受ける影響度は限定的と判断して選出基準に加えた。この情報も年末年始の需要獲得に、ぜひ生かしていただきたい。

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エクスプラス
~訪日旅行者も取り込める!ウルトラマンのプラモデル~
 男性社会人に向けて株式会社エクスプラスは、日本の定番特撮ヒーローを題材にしたプラモデルの投入を発表した。
 それは腰をかがめた前傾姿勢の戦闘ポーズをとる初代「ウルトラマン(Aタイプ)」(発売日と価格は未定)。過去に商品化したシン・ウルトラマンとは異なる胸にカラータイマーを付けた初代テレビ版の立体化に取り組んでいる。
 アジア圏、特に中国で絶大な人気を誇るウルトラマン。そのため、この商品では国内需要とインバウンド消費の両方を獲得できる。さらにバルタン星人の投入予定もあるというので、シリーズとしての需要も期待が持てる。

BANDAI SPIRITS
~造形後の楽しみ拡大!最高峰ガンプラの発光ユニット~
 ガンダムファンに向けて株式会社BANDAI SPIRITSは、最高峰クラスとして来年1月に発売するPC UNLEASHED1/60 Vガンダムの別売り付属品を同時発売する。
 それは特定のガンプラへ組み込むと目や頭部などを緑色に発光させられる「LEDユニット」(税込価格1万5400円)。電池ボックスは本体の専用台座内へ収納でき、発光タイミングも2種類で調整を可能にしている。
 ガンダムの建造を疑似体験できるVガンダム。さらに造形後は付属の武器や武装品で楽しめる。この別売り付属品を利用するとその楽しさは、さらに広がる。

プライム1スタジオ
~新ブランド始動!高精細で大型のT2プラモデル~
 プラモデル愛好者に向けて株式会社プライム1スタジオは、今年12月に立ち上げる高精細を売りにした新ブランドの次回作品を会場で発表した。
 それは劇場映画ターミネーター2に登場する殺人アンドロイド「T-800」のプラモデル(発売日と価格は未定)。付属の2丁銃を持たせたポーズが決められるよう両腕の稼働を可能にした。
 今年12月に新たなプラモデルブランドを始動させるプライム1スタジオ。その商品には国内と海外市場を見据えた高精細さと大型な特長がある。今後、この特長を定着させて世界のプラモデル市場での地位確立を目指している。

ビーバーコーポレーション
~このスケールは初!繊細な表現の爆撃機プラモデル~
 プラモデル愛好者に向けて株式会社ビーバーコーポレーションは、日本海軍の爆撃機を1/48スケールにしたプラモデルキットの販売を11月よりはじめる。
 それは太平洋戦争の初期から中期に実在した「九九式艦上爆撃機二二型」のプラモデル(税込価格1万890円)。コックピットとエンジン部分にはエッチングパーツを用いるなど、全体的に繊細な表現への配慮が施されている。
 完全新金型で生産したウクライナ製の高精細プラモデル。これまで同じ戦闘機で1/72スケールなどはあったが、1/48は初だという。購入費用の増額が目立つ単身者需要にハマる商品に当たる。

ベルファイン
~インバウンド獲得商材!サンダーバードのプラモデル~
 男性シニア層に向けて株式会社ベルファインは、サンダーバードの第2弾プラモデルキットを11月に発売する。
 それは2号を中心にジェットブルドーザーと鉄の爪タンクの3機をセットにした「サンダーバード メカニックセレクション パート2」(税込価格9790円)。今年の7月に第1弾を発売し、第3弾は来年の投入を予定している。
 英国でのテレビ放送開始から今年で60周年を迎えたサンダーバード。それを記念した活動が英国を中心に行われている。その方面からの訪日旅行者が増える紅葉と桜の時期に、インバウンド需要の獲得で使える商品となる。

ヨコモ
~需要は世界規模!進化したオフロード用ラジコンカー~
 国内外のラジコンカーファンに向けて株式会社ヨコモは、ルーキー用オフロードタイプを進化させた新商品を発売し、販売に力を入れている。
 それは駆動部分を守るギヤカバーを加えて砂や小石が多い路面での走行力を高めた組み立てキット式のラジコンカー「RO2.0」(税込価格2万6180円)。モーターの位置も後輪車軸寄りへ下げ、駆動力がより発揮される仕様にした。
 競技用タイプのラジコンカーを多く揃えているヨコモ。そのレース競技のファンは世界中に存在する。この新商品では40代を主軸とした国内愛好者とインバウンド需要を狙うことができる。

【お知らせ】
 2025年11月号の新聞(ホビージャーナル)では、上半期の国内玩具生産状況、秋の勲章受章者、国内で行われたイベントの内容と紹介されていた商品、コンテンツ産業振興策への提言と省庁がまとめている支援案の内容、英国の模倣品に対するキャンペーン、欧州の知財侵害品摘発状況、今年のヒット商品ランキング、企業(スクウェア・エニックス、テレビ朝日と東映、講談社)の動向について取り上げました。今月、その中からピックアップしてホームページへ掲載したのが、イベントの内容と展示品を紹介したこの記事です。今年も年末年始商戦で模型市場をけん引するのは、定番商品という印象を会場で受けました。