株式会社バンダイのカード事業部が、ガンダムシリーズに登場するモビルスーツやパイロットたちの戦いをカード化した対戦型「ガンダムカードゲーム」を今年7月に本格リリースする。発売は日本語版、英語版、簡体字版(中国などで用いられる言語)を揃えての世界同時。販売形式には自分で組み立てた約5センチというミニチュアのガンプラをゲーム中、カードの上に置いてバトルへ加えるアッセンブルセット(全4種)もある。この動きを受け、ミニチュアプラモデルを組み合わせたボードゲームの活動が目立ちはじめたので、その動向を紹介する。
そのロングセラー商品に当たるのはウォーハンマー。英国のゲームズワークショップが1983年に第一版を投入し、40年以上継続販売してきた。ファンタジー要素のある神話とバトルを融合させたストーリーを追いながら、プレイヤーは駒に当たる武装したマッチョなミニチュアプラモデルをサイコロで動かして対戦するのが全体像。ゲームズワークショップの日本支社は国内に開設した14店の直営ショップへ体験の場を設け、新たなファンづくりに努めている。その店舗では3~5月に春のイベントを開催することが決まった。
一方、エンバー オプシディアンプロトコルは、中国発のミニチュアプラモデルを組み合わせたボードゲーム。月の裏側で発見された遺跡を巡る武装した人間同士のバトルというストーリーがベースの対戦型ゲームになっている。ルールはチェスや将棋の変形型で、各駒が持つ能力はカード化されており、それをロボットの様な外観のミニプラモデルへ場面に応じて持たせ、対戦していくのだという(その展開写真)。この発売開始は2024年と浅く、今年から販売窓口を壽屋が担うことで日本進出が決まった。今年のコトブキヤコレクションに出展したメーカー(QUETI TECTONICS)の担当者は「壽屋とともに体験を重視しながら浸透を図っていく」意向を示していた。
英国では19世紀から人気が高く、直近は中国でもコミュニティが形成されているミニチュアプラモデルを組み合わせたボードゲーム。バンダイはガンダムカードゲームに英語版と簡体字版を設け、その言語圏には人気の土台があることから、アッセンブルセットはインバウンド消費を含めた海外需要の獲得が期待できる。同時に国内市場では、ミニチュアプラモデルを組み合わせたボードゲームの知名度向上も期待が持てる。留意点はガンダムカードが子供を含めた幅広い層が対象なのに対し、海外勢は言語の問題もあり、大人が中心だという対象層の違い。プラモデルの需要向上につながる面からも、今年はこれらの動きに注目する必要がある。
【お知らせ】
2025年3月号の新聞(ホビージャーナル)では、統計からの状況分析、海外と日本の制度改正、国内外のイベント内容、商品トレンド、企業(大網、トーハン、セガ)の動向、日本アニメの映画公開情報、訃報などについて取り上げました。その中から今回は、イベントと商品情報を絡めた2件の記事をピックアップして、ここへ掲載しました。アナログなものを組み合わせたゲームの動きが活発になるか、注目です。