夏向け商材見本市に変化!おもちゃビジネスフェア

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 おもちゃビジネスフェア実行委員会(恩田潤一会長)は「夏~クリスマス おもちゃビジネスフェア」を4月16、17日、東京・台東区の都立産貿センターで開催した。メーカーが出展し、来場した玩具を扱う問屋や小売店の関係者へ展示品の案内を行う商談見本市。前身は9月に実施していたクリスマスおもちゃ見本市で、昨年から開催時期と名称を変えて行っている。開催時期が早まり、会場に揃う商材はクリスマス商戦向けから夏休み用が中心に変わった。おもちゃショーと同じ商材が並ぶ傾向が変化して、各ブースでの案内は、より熱が入るようになった。

 会場に出展したのは、新規参加4社(ADC、天栄、東京ミモレ、童友社)を含む52社。来場した7992人へ展示商品の案内を行った。その出展企業が用意した夏用商材は、手に持つタイプの花火や水遊び用という定番品から、飛び出したりガタガタ動くアクション系、サイコロを活用するボードタイプのゲームなど、猛暑の影響で近年、需要が高まっている屋内向けまで、幅広く揃っていた。その他にも、訪日旅行者数の増加に伴って勢いがあるインバウンド消費を狙った和柄やキャラクター商品なども多く見られた。クリスマス商戦向けは、来場者から意見や反応を聞く開発中の商品として出品するケースが目立ち、以前とは目的と揃う商材の傾向が明らかに違う印象を受けた。その会場で体験した夏向け商材の中から現在の高需要に刺さりそうな12商品をピックアップし、詳細を以降にまとめました。この内容も、ぜひ夏休み商戦へ生かしていただければと思います。
※ 関連付けた需要動向(玩具への単身者支出上昇、Z世代とカメラ、インバウンド消費、海外発キャラクターを付けた文具が伊東屋で訪日旅行者に売れた、恐竜やワンピースというキャラクターなど)は、新聞にこれまで掲載してきた内容です。詳しくはそちらをご参照ください。
※ 下線がある文字をクリックすると、対象の写真が表示されます。

カワダ
~単身者需要に合う!論理的な思考を鍛える電卓型ゲーム~
 幅広い年齢層に向けて株式会社カワダは、昨年10月に発売した反応と記憶で挑む電卓型脳トレ玩具「ナンスピ」の姉妹商品を9月に発売する。
 その「ロジカラ」(税込価格4598円)で挑戦者が解読するのは、正解ボタンの色。枠外の左と上に表示される色の条件に合わせてボタンの色を変え、論理的な思考を鍛える内容にした。
 ナンスピは昨年、カワダが扱うゲームジャンルの中で一番売れた。姉妹品にはこの好環境を発展させる同時展開ディスプレイ戦略がある。玩具への単身者支出が高まっているので、個人で遊べる商品は今年の注力商材となる。

ビバリー
~単身者の高需要にハマる!文字をつくる立方体パズル~
 幅広い年齢層に向けて株式会社ビバリーは、立方体の6面にある9個のマス目を動かして1面に1文字をつくるパズルを6月に発売する。
 その「モジキューブ」(全体色が白で文字が黒とその逆の2種類、税込価格1980円)で挑むのはカタカナ、ひらがな、数字、アルファベットの1文字づくり。体験者からは全面の色を合わせるタイプより難しい反応を得ている。
 日本人が考案した新内容の立方体パズル。ビバリーは完成した1文字ずつを写真に撮り、つなげて言葉にする楽しみ方を発信している。これも現在の高い単身者需要にハマる商品に当たる。

セガ フェイブ
~Z世代の女子へ刺さる!ノンキャラフレームのカメラ~
 若い女性に向けて株式会社セガ フェイブは、レトロな白黒写真が感熱レシート紙へプリントできる印刷機一体型カメラの新商品を7月に発売する。
 その「プリカ」(税込価格8800円)は、レンズが本体から180度回転する自撮り機能などを装備したトイカメラ。3月発売の商品に搭載したキャラクターフレームを新商品はノンキャラに替え、数も60から70種類へ増やしている。
 スマホとSNSの登場がZ世代にもたらしたカメラへの興味。特に女性はその度合いが強く、このトイカメラはその需要へ刺さるもの。プリクラ人気の再来を違う形ちで狙う商品となる。

ジーピー
~内容を訴求させよう!島の開拓を競うボードゲーム~
 8歳以上の子供を含めたファミリー層に向けて株式会社ジーピーは、ルールが分かりやすく海外での知名度も高いボードゲームの販売に注力している。
 その「カタン スタンダード版」(既発、税込価格4620円)は、10点を目指して無人島の開拓を競うボードゲーム。サイコロで資源を獲得、あるいは対戦相手との交渉で交換しながら開拓を進める内容になっている。
 一度、遊んでルールを覚えれば、ボードゲームは誰もが楽しめる。コロナ流行時の巣ごもりがその要素を刺激し、長期休暇時期の販売量増加を生んだ。ボードゲームの需要向上は内容やルールの訴求にかかっている。

パイロットコーポレーション
~世界も驚く日本の特殊技術!色が変わる恐竜の玩具~
 3歳以上の児童と親族に向けて株式会社パイロットコーポレーションは、日本独自の特殊技術を採用した恐竜が題材の玩具セット商品を4月26日に発売する。
 その「最強恐竜まほうのティラノサウルス 究極バトルフィールドセット」(税込価格3850円)は、ティラノサウルスの人形など遊び用具5点と収納を収めたセット商品。恐竜は水温により色が4種類に変化する仕様にした。
 水温により色が変わる技術は、海外にない日本独自のもの。それを今回は子供に人気がある恐竜へ採用した。この内容と遊ぶイメージの訴求が国内外の需要獲得をもたらす商品となる。

やのまん
~インテリアに合う!発光する球体型のジグソーパズル~
 国内外の大人に向けて株式会社やのまんは、コードレスで幻想的な輝きを放つ球体型のインテリア用ジグソーパズルを4月下旬に発売する。
 その「3D球体パズル ルミオーブ 神奈川沖浪裏」(税込価格2750円)は、台座やLEDユニットなどをセットにしたジグソーパズル。柄は新札の裏面にも使われている有名な浮世絵を選んだ。
 接着剤ナシで組み立てられるものの、ピースが小型で難易度が少し高めのジグソーパズル。7月にはラッセンのマリンアートジュラシック・ワールド柄の新商品が登場する。インバウンド消費の獲得も可能な商品に仕上がっている。

エポック社
~売りは日本独自のデザイン!ディズニー柄のカード~
 カード収集家に向けて株式会社エポック社は、ディズニーキャラクターを採用したトレーディングカードのリロ&ステッチ版を6月26日に発売する。
 その「EPOCHコレクションカード〈リロ&ステッチ〉」(カード10枚入りの1パックで税込440円。写真はプリンセス版)は、90種類のデザインを揃えた収集用カード。箱で購入するとシリアル番号入りが出る仕掛けもある。
 日本独自のデザインを施した米国発キャラクターのカード。東京・銀座にある伊東屋では、同じ路線の文具が訪日旅行者に受けた実績がある。世界市場で同じ現象を目指す商品に当たる。

東京ミモレ
~箱買いも発生!?ワンピース柄のスーパーボール~
 アニメファンに向けて株式会社東京ミモレは、飾るのを前提とした台座付きスーパーボールシリーズのワンピース柄商品を7月初旬に発売する。
 その「シン・スーパーボール ワンピース」(1個の参考税込価格880円、写真は既発商品の柄)は、キャラクター柄5種とシークレット1種類という構成。それぞれを中身が分からない袋に封入し、1箱24個入りで出荷する。
 日本発キャラクターの中でも現在、海外で一番勢いがあるワンピース。その柄を透明度が高いスーパーボールに入れたもの。インバウンド消費では人気の高さから箱買いの期待も持てる。

バンダイ
~インバウンドも狙える!映画の姿に近いメカゴジラ~
 国籍を問わず3歳以上のゴジラファンに向けて株式会社バンダイは、ムービーモンスターシリーズのリニューアル品を5月17日に発売する。
 それは塗装を含め、完全新造形の「メカゴジラ(2002)ver.2.0」(税込価格3520円)。2002年公開の映画「ゴジラ×メカゴジラ」に登場する姿へより近づけたもので、会場では映画のシーンを再現して訴求を図っていた。
 日本が生んだ巨大生物キャラクターの中価格帯関連商品。その映画シリーズは国内だけでなく北米や台湾などでも人気が高い。インバウンド消費を含めた需要が期待できる商品に当たる。

テンヨー
~キラキラ光るのが価値!グレンダイザーのメタル模型~
 ロボットアニメファンに向けて株式会社テンヨーは、メタルシートクラフトの新商品を7月に発売する。
 その「メタリックナノパズル グレンダイザーU」(税込価格5280円)は、接着剤を使わずにペンチで曲げる、折る、差し込むなどの作業で仕上がる完成形が精密なメタルシートクラフト模型。その新商品には昨年、新作アニメで復活したグレンダイザーUとマジンガーZを選んだ。
 利用素材からキラキラ光るのが特長のクラフト模型。しかもグレンダイザーは中東地域で知名度が抜群に高い。インバウンド消費の獲得も狙えるプラモデルとは異なる価値の商品となる。

童友社
~ファンも納得の再現力と迫力!エヴァのプラモデル~
 エヴァファンに向けて株式会社童友社は、エヴァンゲリオンの新商品プラモデルキットを4月30日に発売する。
 その「AMKシリーズ EVA-01 エヴァンゲリオン初号機」(税込価格7678円)は、新劇場版に登場する3体をモチーフにした中のひとつ。ランナーからの部品切り離しと塗装の必要がない簡単組み立て仕様になっている。
 テレビ放送から今年で30周年を迎えた海外での知名度も高いエヴァンゲリオン。この商品には海外ファンも納得させる完成度と劇中シーンの再現力、高さ20センチからの迫力がある。インバウンド消費の獲得も期待が持てる商品に仕上がっている。

若松屋
~体験が新局面創出のガキ!日本の夏を表す線香花火~
 夏の高需要期に向けて株式会社若松屋は、生産と運搬のコスト、プラスチック使用量を削減し、中身を20%増量した花火セットの販売に注力している。
 その「エコパッケージ花火」(オープン価格)は、手持ち花火で構成したセット商品。その中には時間の経過とともに火花の様子が4種類へ変化する線香花火も含まれている。
 日本の夏を表す風物詩の線香花火。その訪日旅行者向け体験イベントが各地で行われている。線香花火のイベント量がさらに増加すれば、火薬製品として存在する様々な障害を取り除き、新たな局面創出への糸口につながる。

【お知らせ】
 2025年5月号の新聞(ホビージャーナル)では、統計からの消費動向分析、国内外で行われたイベントの内容、カード決済からの訪日旅行者動向、政府による産業支援の内容、新作映画の情報、団体の総会と普及活動の状況、特定ジャンルについての調査報告、企業(エーツー、グッドスマイルカンパニー)の動向について取り上げました。その中から今回、ピックアップしたのがこの記事です。この夏、どの商品が売れるか注目しましょう。