おもちゃショーで紹介されていたハイターゲット・トイ10選

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 一般社団法人日本玩具協会(前田道裕会長)は、東京・江東区の東京ビッグサイトで「東京おもちゃショー」を8月29日~9月1日に開催した。商談と消費者へ商品を訴求させる2機能を持たせた玩具の展示会。テーマは今回も変えず「おもちゃで世界を笑顔に」としたものの、開催時期を例年の6月からクリスマス向け商品の案内がより具体的にできる8月へ変えた。その会場に出展したのは192社(国内112社、海外74社、ゾーン出展6社)。様々な商品が揃う中から大人向けのハイターゲット・トイ10点をピックアップした。
 今回は野外で写真を撮る楽しみ方を推奨した人形類を複数の企業が用意するなど、女性向け商品の投入が目立った。今年の年末から来年にかけての玩具店頭では、大人の女性需要争奪戦が激化しそうな印象を受けた。
 ※商品名下の下線をクリックすると写真が見れます。

 石川玩具
「スーパーマリオ フィギュアコレクション プラス」(9月発売予定)
 高さ10センチのアクションフィギュア。
 定番の6センチタイプから可動部分を増やし、それぞれを象徴するアイテムを付属させ、よりリアルな表現が付けられるようにした。
 映画が世界的に大ヒットした実績があり、日本の子供や大人だけでなく、インバウンド消費も取り込めることを広くアピールしていく。

 エポック社
「シルバニアファミリー」(既発)
 女児向けの定番ドールシリーズ。
 持ち出して写真を撮る楽しみ方が女性の間に広がり、ファミリーの中で子供と位置付けている小さいタイプの売れ行きが良くなった。
 このタイプを新商品として積極的に投入しており、楽しみ方と自然との相性が良い動物である特長を訴求させて、更なる需要向上を狙う。

 京商
「ファースト ミニッツ シリーズ」(既発)
 トヨタのハイエースやスプリンタートレノなど実車を模した鑑賞と走行の両方が楽しめるラジコン。
 家の中で走らせるのが前提の商品だが、走り感は本格的で、愛好家の集まりが形成されるほど人気に高まりがではじめた。
 昔、ラジコンに親しんで、現在は卒業状態に当たる層の掘り起こしへ特に力を入れている。

 セガ フェイブ
「フェイバリットイ ブランド」(来年1月と3月に発売予定)
 小型のぬいぐるみとアクリル板スタンドを組み合わせたアク×ぬい、アクリル板をキャラクター型に切り抜いたアク×ドールの2シリーズを揃えた新ブランド。
 初回はサンリオキャラクターズやハイキュー!!などを投入する。
 持ち出して写真を撮る楽しみ方を推奨したものだが、動かせる機構もブランドの特長だという。

 タカラトミー
「リカちゃん フォトジェニックリカシリーズ」(9月下旬に発売予定)
 SNSへの写真投稿を意識した大人の女性向けリカちゃん。
 人間の関節部分に当たる稼働機構の見直しに3年をかけ、ひざや肩など露出箇所の見た目が美しい、自然なポーズがとれるタイプに仕上げた。
 これらが評価され、この展示会の出展者がエントリーした中から玩具産業の活性化へつながりそうな商品を選ぶ、日本おもちゃ大賞のキダルト(ハイターゲット・トイの新名称)部門で、最上位を獲得した。

 タカラトミー
「SYNERGENEX(シナジネクス)シリーズ」(2025年後半に発売予定)
 新レーベル「T-SPARK」に追加する新シリーズ。
 このシリーズは自社のロボットコンテンツと他社キャラクターのコラボを集約した場所と位置付けている。
 会場にはZOIDSとスパイダーマン、トランスフォーマーとゴジラが共演した参考出品フィギュアが展示されていた。

 テンヨー
「メタリックナノパズル」(一部商品の発売予定は10月)
 ハサミや接着剤が不要なハメ込み式で完成する薄い金属板を素材とした小型のクラフト模型。
 紙やプラスチック素材とは光沢感が異なり、城や鎧、戦艦などはキラキラ光る豪華な完成品に仕上がる。
 インバウンド消費が好調なのを受け、来年よりパッケージの一新と有名ロボットキャラクターの新商品投入を計画している。

 ハナヤマ
「HUZZLEシリーズ」(既発)
 外すだけでなく、戻すことを前提とした知恵の輪。
 デザインのデジタル化を契機に、シンプルからゴツい形状と、より難易度の高い内容へ進化させてきた。
 世界中にパズル作家が存在し、それが縁で海外でも販売を行ってきたことが評価され、今回、日本おもちゃ大賞に新設されたグローバル・サクセス賞を受賞した。

 ハピネット
「HOTARUNA」(既発)
 推し活市場を狙って投入したペンライト。
 後発での市場参入を考慮し、内容のカスタマイズが可能なバッチを付属させるなど、玩具系企業という要素を盛り込んだ商品に仕上げた。
 応援するだけでなく、カスタマイズして自分も楽しめる特長を広く訴求させていく。

 メガハウス
「ルービックキューブ レトロ」(既発)
 発明(発売は数年後)から50周年を記念したコレクションアイテム。
 配色、色ラベルの形状、パッケージを含め、完全に再現しつつ、記念品であることを考慮し、黄色だった色ラベルを金色に変更して投入した。
 飾る楽しみ方を念頭にした商品なので、ディスプレイパッケージへ入れた2重ケース仕様となっている。

 今回の来場者数は8万4411人(バイヤー1万3362人、一般消費者7万1049人)となった。会期を通じて受けた台風上陸の影響を乗り越えて、昨年の実績(6万8597人)を上回ることができた。インバウンド消費で商品が売れるようになり、日本玩具協会が行った昨年度の玩具市場規模調査では過去最高値を更新し、はじめて1兆円を超えた。市場での好調さに、人を引き付ける勢いを加え、玩具市場はクリスマス商戦へ突入していく。